私の研究領域は、「ビジネス情報倫理学」です。ですが、これはどういう分野なのかわかりにくい分野かと思います。例えば、ビジネス、情報、倫理と3つに分けてみると、それぞれはなんとなくわかるでしょうか？でも、それらが一緒になった「ビジネス情報倫理」となるとどうでしょう？

この研究領域は、実は私達の日常・社会生活にとても密接に関係しています。例えば、Twitterやインスタグラムなどのソーシャルメディアから情報の受信・発信を行っているという人も少なくないと思います。この時に、インターネット技術や様々な情報を蓄積するデータベースといった「情報」（通信）技術（ICT）が使われています。そして、ソーシャルメディアの利用状況でも、「倫理」的に考えて疑問符がつくような事態を目の当たりにすることもあるかと思います。さらに、それらの技術の開発を行い、利用を促したりしながら、社会に多大な影響を与えている組織の一つが「ビジネス組織」になります。これらは相互に関係し、ICTが現在の私達の生活を豊かにしてくれる一方で、暗い影も生み出しています。こういったICTの開発や利用、情報システムと情報サービスの社会・経済への普及・浸透に伴って発生する倫理問題、特にビジネス組織に関わる倫理課題を考察するのがビジネス情報倫理学です。

高校まででは、このような研究領域を専門的に勉強することはなかったかもしれません。しかし、大学ではこのようなニッチではあるけれども、専門性の高い学問・研究領域に触れるチャンスもたくさんあります。大学では、文理を問わず、様々な領域で研究を行う研究者が講義を担当し、その最新の研究成果を講義内容に反映させられるよう、日々地道に研究活動を続けています。そのような大学の世界に身を置くことは、今まで聞いたこともなかったような学問・研究領域、研究テーマと出会い、新しい可能性を拓く手がかりを示してくれるかもしれません。