米国航空業界の長時間地上待機をめぐって
愛媛大学法文学部の福井 秀樹教授は、乗客を機内に乗せたままの長時間の地上待機、すなわち長時間のターマック遅延に対する制裁金が、航空会社の規則違反を抑止するのか、それとも単なる事業上の費用として扱われるのかを検証しました。
深刻な気象条件の下で発生した事例を準自然実験として利用し、差の差法などを用いて、制裁を受けた航空会社と受けていない航空会社を比較しました。分析の結果、改善効果は限定的で、一貫していないことが分かりました。また、制裁金が航空会社の純利益に比べて小さい場合には抑止効果が弱く、一部の航空会社が制裁金を通常の事業上の費用とみなしている可能性が示唆されます。
この研究成果は、交通政策や交通システムに関する研究を掲載する国際学術誌「Transportation Research Part A: Policy and Practice」(Elsevier発行)に5月18日付でオンライン先行公開(同年9月発行の第211巻に掲載予定)されました。


研究成果のポイント
- 極端な悪天候に起因する事例を準自然実験として捉え、差の差法などを用いて制裁金が科された後の航空会社の運航行動を分析しました。
- 一部の航空会社では長時間のターマック遅延(乗客を機内に乗せたまま、航空機が離陸前や着陸後に地上で長時間待機すること)が減少しましたが、その効果は必ずしも強く、持続的なものではありませんでした。
- 航空会社によっては、ターマック遅延や欠航が増えるなど、規制の意図とは異なる対応が生じる可能性も確認されました。
