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研究交流会「医科学研究とゲノムの話」を開催しました【12月3日(月)】

 平成30年12月3日(月)、本学大学院医学系研究科と理化学研究所生命医科学研究センター(以下「本センター」という)が合同で「医科学研究とゲノムの話」をテーマにした研究交流会を開催しました。
 本センターは、ヒトの疾患の発症機序を解明し、新たな治療法を確立することを目指し、ヒトのゲノム機能と免疫機能を融合させた研究に取り組んでいます。本学では、病態生理学講座の今井祐記教授(医学部附属病院・副病院長)が中心となり、臨床現場と基礎研究の橋渡しを実践しており、今後の本センターとの共同研究を見据え、研究交流会を開催したものです。
 はじめに、本センターの骨関節疾患研究チームでチームリーダーを務める池川志郎先生から、パーソナルゲノム時代に取り残されないためのゲノム医科学の基礎知識について話がありました。ゲノムとは、遺伝情報が含まれる染色体のことを言い、人間のプログラムともいえるヒトゲノムには、医学・医療の基礎となるひとの病気に関するあらゆる情報が含まれているとの説明がありました。また、研究の進展とともに、そこには病気の原因、病気への感受性/罹り易さ(発症リスク)についての情報のみならず、病気の進行・重症度、薬物や外科的侵襲など治療に対する反応・治療効果の個人差など、治療に必須となる情報が含まれていることが分かってきたと紹介がありました。これらのヒトゲノムを解析することで、新たな治療法の確立に繋がると期待されており、これからの医学・医療の発展には欠かせない研究であるとの説明がありました。
 続いて、本センターの遺伝子制御回路研究チームでチームリーダーを務めるSHIN Jay W先生から、一細胞レベルでの遺伝子発現解析についての講演がありました。ヒトの器官や組織における機能は、ゲノムから引き出される遺伝子によって発揮されます。SHIN先生からは、組織において、どのような遺伝子が発現しているかの網羅的な解析は、次世代シーケンサの開発により比較的容易に行うことができるようになってきたものの、組織は多くの細胞からなっているため、この結果は、一つ一つの細胞から出る遺伝子の平均値を観察しているに過ぎないと説明があり、本センターで開発した新しい技術により、一つ一つの細胞における遺伝子発現を網羅的に解析することが可能となったと話しました。この技術を応用し、本学医学系研究科/医学部附属病院も参画する大規模国際共同研究によって、体の中の全ての細胞の遺伝子発現の“地図”を作成し、病気のメカニズム解明や新たな治療法開発に関するプロジェクト計画について紹介がありました。

池川先生の講演                       SHIN先生の講演

 

<大学院医学系研究科>