この授業では、短い対話形式の文例や基礎文法の要点を学びます。そしてそれを応用して自分の趣味や社会活動について自己紹介を行うことにより、フランス語によるコミュニケーション能力の基礎を身につけることを目的としています。

授業内容

 コロナ禍のため第1クォーターはオンラインでの授業でしたが、第2クォーターから対面授業が行われることになった初級フランス語Ⅱ。履修登録学生は全部で15人、期末試験を2週間後に控えた取材当日は、そのうちの13人の学生が受講しました。

 今回の授業では、「する」動詞を学習しました。ある学生は、「私は毎日筋トレをします」を表現したくて、フランス語で先生に質問していました。
  「Comment dit-on “ Kintore “en français?」(訳:「筋トレ」はフランス語で何といいますか?)。この、「〇〇はフランス語で何と言いますか?」は、初回の授業で教わるもので、毎回の授業に欠かせない最重要表現です。他に「Excusez-moi mais je ne comprends pas(訳:すみません、意味がわかりません)」も、この授業で教わる最重要表現で、学生は使い慣れている様子で流暢に先生に質問していました。ちなみに「筋トレ」はフランス語で「la musculation」、なんと意外にも女性名詞だそうです。 「ん?女性名詞とは?」と思われる方もいるかもしれません。フランス語は、日本語にはない定冠詞(英語でいう「the」)があり、後に続く名詞の性と数によってその形が変化するという複雑さがあるので、学生も文法には苦戦するようです。「間違えてもかまわないよ」「難しいから仕方ないよ」そんな優しいモヴェ先生の声掛けをうけながら授業は進みます。

 

モヴェ先生によると、この授業では、旅先で役立つ「フランス語」は教えないとのこと。なぜなら、この授業でフランス語を学んだ学生が将来フランス語圏に行く機会があるかと考えると、その確率はとても低いから。それよりも、身近でフランス語を使うシチュエーション、例えば、大学のキャンパスでフランス語圏の留学生と楽しくコミュニケーションがとれるよう、意識して授業を組み立てているそうです。

 

 以下に、モヴェ先生からフランス語の魅力や授業について詳細なコメントをいただきました。フランス語に少しでも興味のある方は、ぜひ受講してみてください。

教員からのコメント

モヴェ エリック先生

 愛媛大学の共通教育科目には初級外国語の授業があります。初級外国語とは、英語以外の初めて学ぶ外国語のことです。本学では朝鮮語、フィリピン語、中国語、ドイツ語、フランス語があります。私はフランス語を教えており、この授業は基本的に1年生が受講しますが、2年生から4年生、それから松山市内の高校に通う学生も受講が可能です。
 私は、共通教育科目(昼・夜)として、フランス語会話の授業を週2回担当しています。この授業は主に文法を教える日本人の先生と、会話と文化を主に教えるフランス人の先生、つまり私と2人で担当する形となっています。

 

  なぜ英語以外の外国語を学ばなくてはならないのでしょうか。
 外国語を学ぶというのは単に言語を学ぶだけでなく、別の文化を知ることでもあります。それによって精神が開かれ相当の知識が増え人格が発展します。それまでに意識しなかった道を、時として見つける人がいます。語学を学ぶことによって様々なことが起こります。語学だけのことではなく、考え方、生き方などが変わることがあります。

 私の授業は、なにはともあれ短い会話をまず学習するという特徴があります。これによって言語と文化に素早く接近することができ、そしてこの教育法では、読むことはもちろん「フランスの日常的な事柄についてフランス語で話す」という能力をより早く習得することができます。授業では、ワークグループになった学生同士(授業に参加している日本人学生と外国人留学生)、そしてもちろんネイティブである私とフランス語で会話できるようになります。大学内にはフランス語圏の留学生もいますので、彼らと基本的なコミュニケーションはとることが出来るようにもなるでしょう。
 90分の授業は45分ずつに分け、前半ではその日の新しい会話全体を習得します。後半では、2人から4人のグループに分かれて、学習した内容の会話練習をします。こうして授業の進行につれてだんだん、より複雑な会話をすることができるようになります。

 テストは口頭で行い、学生は先生と5~10分の会話をするという方法です。このためには会話を暗記するだけでなく、その会話例以外の、それまでに学習した内容から必要な部分を取り出して、自分で会話を組み立てる、ということが大切です。これは外国語コミュニケーション特有の必要な能力であると言えます。
 このような能力を身につけるためには、授業後半45分のグループ練習以外の時間外学習も必要となりますが、そのために、大学のMoodle(e-Learningを支援する目的で運用される学習管理システム )というサイトを使用して、自主学習が出来る環境を準備しています。各自が自分のレベルに合わせて目標に応じて練習することができ、ステップアップすることも可能な環境を整えています。

 また、言語学習だけではなく、フランス文化の特性、比較文化、そして文化の違いについてなど、講義とMoodle両方のアプローチから学習もしていきます。文化の紹介については、学生の年代に合わせたトピックスもとりあげています。

 例をあげると・・・  
  ・季節の行事の文化的違い(クリスマス、正月、夏祭りなど)
  ・日本とフランスの教育システムの違い
  ・17歳から25歳のフランスの若者の生活
  ・習慣、食文化の違い
  ・家族、仕事、愛情、など社会的関係の違い
  ・コミュニケーションにおけるフランス人のジェスチャー
  ・フランス人にとってのバケーションとは
 などがあります。

 最後になりますが、たとえ語学に興味がないとしても、語学学習を経験することは、物事の多様性に気づき、また「考える」ことを深化させる大学教育の真髄そのものであるとも言えます。自身の思考能力、自己発見、そして発展のために有効となることでしょう。どの言語であろうと、ぜひ大学でこのような体験をしてみてください。

学生からのコメント

理学部理学科1年生 磯部みのりさん

 本講義ではフランス語の会話文を学び、実際に声に出して発音することで、基本的なフランス語の会話ができるようになります。私はこの講義の中では1人も知り合いがいませんでしたが、毎回ペアとの練習時間で発音を確かめ合ったり、先生に質問をしたりして有意義な時間を過ごすことができています。
 また、私はまだフランス語の勉強を始めて4ヶ月ほどしか経っていませんが、フランス語の映画や音楽を見たり聴いたりした時、自分が習った単語を聞き取ることができたり、発音方法を学んだことで今このアルファベットの発音をしているなと理解することができたりして、フランス語に触れることが楽しくてとてもワクワクしています。
 授業内ではフランス語のことばかりではなく、フランスの国の話なども交えながら楽しんで学習することができます。ぜひ皆さんも私たちと一緒にフランス語を学んで日本語と英語とフランス語が話せるトリリンガルになりませんか。