この授業は、全学部1年生以上の学生を対象とした共通教育科目のうち、発展科目として開講されています。現代社会において重要性が増している「リーダーシップ」について、その理論を学んだ上で、グループワーク等の実践的な学びの中から、学生自らが必要な力を体得する機会の創出を目的としています。

授業内容

今回は、全15回の授業のうち、最後の全体講義である14回目の授業を取材しました。

まず6つの班に分かれてのグループディスカッションから始まりました。『今までの活動を通して発見したグループメンバーそれぞれの「よかった点」「改善できる点」を伝え合う』というテーマに対し、用意されたリフレクションシートに自分の考えをまとめていきます。特に「改善できる点」というテーマからは、村田先生の「自分の発見をこの場で伝えることで、相手のこれからの生き方に良い影響を与えるかもしれない」というお話もあり、人間的成長を促すことを目的とした本講義ならではの空気を感じることができました。

考えをまとめ終えた後は、用意された時間があっという間に感じるほど、それぞれの班において活気ある話し合いが行われました。受講生たちは、グループメンバーから挙げられた自分の「良い点」「改善できる点」を、時に笑いながら、時に深く頷きつつ、真剣な表情で聞き入っていました。また講義には、前年度受講していた学生たちもスタッフとして参加しており、後輩たちの熱心な取組を見守りながら、スムーズな話し合いができるようにサポートしていました。

授業の後半では、今までの学びや体験を経て、自分自身の「今後の目標」と「目標を達成するためにやるべきこと」を考え、グループメンバーに発表する時間が設けられました。より良い人間として成長するため、これからの自分に必要なものは何なのか。先ほどのグループディスカッションで得た「改善できる点」なども踏まえながら設定した目標を、生き生きとした声で発表する受講生たちの姿が印象的でした。

今回の講義を通して、「愛媛大学リーダーズ・スクール」では、自分自身の成長を促すことはもちろん、人と人との繋がりの大切さを学ぶことができるのだと感じられました。

目標を掲げての記念撮影

教員からのコメント

“リーダー”や“リーダーシップ”というキーワードを耳にすると、「自分とは無縁だ…」と感じるでしょうか。それとも、「自分はこれまで何度もリーダーシップを発揮した経験がある。でも、それを“学ぶ”ってどういうことだろう?」と思いますか。共通教育発展科目「愛媛大学リーダーズ・スクール」(以下ELSと略記)は、リーダーシップに関する知識・スキル・マインドについて、座学と実践の両面から学ぶことができるプログラムです。

これまで何十年も研究されてきたリーダーシップに関する理論的な知識を学ぶだけでなく、授業内の様々なシーンで取り組むグループワークやチーム活動、開講期間中に実施する宿泊型研修など、座学で得た知識を実際に行動に移してみる機会が設けられています。それらの活動の後には、自分のチャレンジを受講生同士で共に振り返るリフレクションの時間があり、何ができていて何ができていないか、自分やチームの課題は何か、次にどんな目標を掲げて挑戦することができるかなどについて整理することができます。そして、それをもとにまた座学で学ぶ。学んだことを実践してみる…という学びのサイクルがELSの基本デザインです。

リーダーシップやそれに関連する能力は、社会人基礎力や学士力、グローバル人材の定義などに示されていることからも明らかなように、実社会で必須となる力の一つです。本学でも「愛大学生コンピテンシー」として愛大生が在学中に体得するよう期待する能力の一覧を策定していますが、具体的な力の7番目にある「目的達成のために多様な人と協働できる」力は、協調性やチームワーク、リーダーシップといった要素を柱とするものです。

とはいえ、リーダーシップというものは知識として「こういうものだ」と定義を説明できるだけでは役に立ちません。体系的な知識を自分に取り入れたら、それを行動に移してみる。そして、その効果や影響を体感し、それを自分のものとしていくプロセスがあってこそ、活きた知識、つまり知恵として身につくものです。ELSが実践の場を設けている理由はここにあります。

例年、前期に開講するELSでリーダーシップの基礎を学んだら、後期には発展的な科目である「ファシリテーションとリーダーシップ」(通称EFL;責任担当教員は仲道雅輝先生)を継続して受講するのをお勧めします。受講生間での共同活動やグループ・プレゼンテーションを中心としたELSに比べ、EFLでは愛媛県や松山市PTA連合会、ジョブカフェ愛Work、愛媛大学附属高校、本学の協定校(国立高雄科技大学・台湾)など、学内外・国内外の様々なステークホルダーと協力して複数のプロジェクト活動に取り組みますので、さらに多様な実践の機会が広がります。

本学の学生なら、どの学部に所属していても、またどの学年でもELSを受講することが可能です。学部や学科、学年の異なるメンバーと机を並べて学んだり、協力してプロジェクトを進めたり…。そこで生まれる人間関係の広がりもまた、ELSの魅力の一つ。せっかく愛大に来たのなら、新たな挑戦の機会をELSで見つけてみませんか?あなたのチャレンジを待っています。

学生からのコメント

工学部1年生 野口 恭吾 さん

本講義では、講師の話を聞くといった受動的な学習だけでなく、セミナーをする側に立ったり、企画、運営の面に携わってみたりと能動的な活動も通してリーダーシップについて学ぶことができます。ELSには志の高いメンバーが沢山周りにいるため、常に向上心を持って活動でき、私自身短い期間でかなり成長できました。他の講義では味わえない刺激や、同じ目標を目指す同士がいる楽しさを感じられる魅力的な講義です。

社会共創学部1年生 小島 碧子 さん

ELSでは、講義を受けたり、実際に自身でセミナーをしたりする中で「リーダーシップ」について学び、身につけることができます。お互いを批判しあえる同志や先生の元で、お互いを高め合いながら3ヶ月と短い時間の中ですが、自分に足りない力を発見し、充実した時間を過ごすことができました。
ELSはリーダーシップについての学びに加え、自分と向き合うことできるため自身を大きく成長させることができる素晴らしい講義です。

(左から)野口さん、小島さん